本田飲食堂

2012-11-30 20.56.59

本田飲食堂。なかなかにストレートな店名であることよ。スナック「あけみ」のママはじつはあけみじゃなかったりするけど、こちらは正真正銘、本田さんのお店である。

「俺、本田がやってる飲食できる店。ストレートで分かりやすいでしょ。フランス語とかイタリア語とか、そもそもどういう意味かわかんない名前にしたってしょうがないしね。一発で覚えてもらわないと。あ、でも未だに『本田食堂』って言われることも多いけど」

ややぶっきらぼうながら「頼れるアニキ」っぽい雰囲気も感じられる口調でそう話すのは、オーナーにしてすべての料理を担当している本田修さん。最近じゃ「りゅえる」なんてハイカラな名前が付いちゃった武蔵小山飲食店街に、念願の「自分のお店」をオープンしたのは13年前。1999年のことだった。

「空からアンゴルモアの大王が降りてきて開店資金で借りたお金もチャラになるかなと思ったんだけど、そうはいかなかったね。当時のこのへん? 今でこそ若者向けのお店も増えたけど、かなり怪しかったよ」

ここから話が急に私事になるが、筆者が武蔵小山に引っ越してきたての頃、ネットでグルメ情報を調べ、初めて扉を開いた飲食店がここ、本田飲食堂だった。前述したとおりここら一帯は本当に怪しさ満点で、こんな場所にはたしてお目当てのお店があるのか、辿り着くまで心配でしょうがなかった(同行した妻は「ドリフのコントみたいな場所だね」なんて言ってましたが)。で、本田飲食堂でひととおり飲食してみて最初に感じたのはずばり、コストパフォーマンスの良さ……いや、コスパの話をするとどうしても中庸的な感じになるのだが、味のレベルがかなり高いことを大前提とし、それに加えて値段が安いという意味でこの表現を使ってることを念のため記しておく。が、ひとつ残念だったのは、店主が無愛想なこと。まぁそこには目をつぶるか安くておいしいしー、みたいな感じで通い始めた覚えがある。

おそらく僕は、率先して常連になりたがっていたんだと思う。ほら、工事現場とかで働いていて、普段まったく話さない高倉健キャラな先輩がある日、「ほら、これ飲め。寒いだろ」なんて言いながらあったかい缶コーヒーをくれる、みたいな。え、ピンと来ない? 正直、僕も工事現場で働いた経験はないのでよく分からないけど、なんとなくそんな感覚で「こういう人に心を開いてもらいたい」なんて淡い希望を抱いていたんですよ。

その日は案外早くやってきた。というか、きっかけとなった会話や出来事なんてまったく覚えてないんだけど、いつの間にかカウンター席に座って本田さんと喋るようになってたんですね。来店当初のとっつきにくい感などどこ吹く風。この店主、案外よく喋りますよ。おそらく年齢が近いのと興味対象が似ているからだと思うけど、最近なんか彼のほうから話を切り出すことも多いからね。そういえば結婚式にも出席させてもらったし、今も変わらず家族ぐるみのお付き合いができていることを自慢に思っています。誰に向けての自慢か分からないけど。

とまぁ、この取材の日もあえてシュザイシュザイすることなく、いつものようにカウンターに座り、ビールを傾けつつおいしい料理を頬張りながら、そしていつものごとくくだらないトークをしてましたとさ。めでたしめでたし。

「んじゃ、記者さんが喜ぶような話もしておくかな。ほら、この手の記事だと『こだわり』についてあれこれ言ったりするだろ。でも俺に言わせりゃ料理人の一番のこだわりはお客さんを喜ばせることであってさ……」

「あ、そういうの、カッコよすぎるので没です」

「なんだよそれ」

おそらく今後もこんな感じで、本田さんと軽口を叩き合ってると思います。僕の至福の時間です。

あ、こちらは「本田飲食堂の看板娘」と噂のスタッフ、MOMOちゃん。このはにかみ笑顔を独り占めしたけりゃ通え。でもライバルは多いぞ。

東京都品川区小山3-13-14
03-3785-0276
11:45~14:00、18:00~24:00(LOは23:00)
月曜・第3日曜休
http://inshokudo.jp/

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